コーポレートサイトのコンペは、なぜうまくいかないのか
コーポレートサイトのリニューアルを検討し始めると、多くの企業がまず「制作会社を探すところから始めよう」と考えます。
しかし、実際にはこの時点で、コンペの成否の大半が左右されているケースも少なくありません。では、コンペの「失敗」とは何でしょうか。
それは、
- 気に入ったデザインが出てこなかったこと
- 制作会社の実力が期待値に届かなかったこと
ではありません。
本当の失敗は、
- 社内で納得感が生まれない
- 選定理由を説明できない(社内・コンペ参加会社にも)
- プロジェクト開始後に「こんなはずではなかった」となる
という状態です。
つまり、制作物の問題ではなく、コンペを始める前の設計が整っていないことが、失敗の本質といえます。
本連載では、コンペを主宰する発注側の立場に立って、この「設計」の部分を整理していきます。
よくある失敗の要因
実務の現場でよく見かけるのは、次のようなケースです。
1. 要件が曖昧なまま始めてしまう
「そろそろ古いから」
「社長が変えたいと言っているから」
目的が言語化されないままコンペを始めると、提案の評価基準が定まりません。
2. 判断軸が途中で変わる
最初は情報整理を重視していたのに、途中からデザインの印象が最優先になる。
評価軸が揺れると、どの会社を選んでも不満が残ります。
3. 関係者の意見が後出しになる
プレゼン後に、「実は役員はこう考えている」「やっぱり採用強化も重要だった」といった意見が出てくる。
これは制作会社の問題ではなく、社内整理の問題です。
4. デザインだけで決めてしまう
最終的に印象で決めてしまう。もちろんデザインは重要です。しかし、コーポレートサイトは数年間運用し続ける経営資産です。印象だけで選ぶと、後から運用や拡張で苦労します。
どれも珍しい話ではありません。 そして、進行している間は「動いている」という安心感があります。しかし、問題に気付いた時には、すでに後戻りしにくい段階に入っていることが少なくありません。
失敗の原因は「制作会社」ではないかもしれない
コンペがうまくいかなかった場合、「制作会社選びを間違えたのではないか」と考えがちです。 もちろん相性の問題はありますが、多くの場合、原因はもっと手前にあります。 それは、コンペそのものの設計が曖昧なまま始まっていることです。
制作会社側も、限られた情報の中で「何を重視すべきか」を探しながら提案しています。しかし、前提条件が整理されていなければ、「正解を探しながら提案する」状態になってしまいます。 結果として、各社の提案は方向性が揃わず、比較もしにくくなります。
失敗しにくい「コンペの設計」とは
社内の納得感を得られる、制作会社の選定理由が明確になる、プロジェクト開始後に「こんなはずではなかった」とならない。そのためには少なくとも、次の点は整理されている必要があります。
- 誰に向けたサイトなのか
- 何を解決したいのか
- コンペで何を比較したいのか
これらが言語化されていないままでは、どれだけ時間や手間をかけても、納得感のある決定にはつながりません。
「まずは制作会社を探す」ではなく、「まずは自分たちの状況を整理する」。 ここが、失敗しないコンペのための第一歩になります。
この連載でお伝えしたいこと
「コンペの設計」において唯一の正解はありません。 ただし、失敗しにくくなる考え方や進め方は確かに存在します。
当社はこれまで多くのコンペに参加してきました。一方で、コンペを主宰される会社様のご苦労も間近に見てきています。
そうした経験を踏まえ、本連載では、
- コンペ費用と社数の考え方
- 制作会社の見極め方
- RFP(提案依頼書)の整理
- 最終判断のチェックポイント
といった「コンペ設計のあり方」を順に整理していきます。
次回は、「コンペ費用と声をかける社数はどう考えるべきか」という、多くの担当者が悩むテーマを取り上げます。
次回予告
「コンペ費用と社数の考え方」 ~ 3社? 5社?コンペにかける予算は? ~
