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コラム

Web運用の新しい視点ーAIO(AI最適化)について

近年、企業のWebサイト運用において「AIO(AI最適化)」という言葉が少しずつ注目され始めています。
AIOとは、AI技術の進化を背景に、従来は個別に扱われていたSEO等の「最適化施策」を、より横断的・包括的に進めていくこと、またAIを介した情報収集に対するアプローチを最適化するという考え方です。

私たちWeb制作の現場でも、サイトの成果を最大化するために、こうした「AIO的な視点」が必要な局面が増えてきました。

本記事では、Web担当者様に向けて、今後求められる備えと、AI活用における注意点を実務的な視点からご紹介します。

Webにおける「○○最適化」とは

Webサイトの運用には、目的に応じたさまざまな「最適化」が存在します。以下がWebサイトの運用改善でよく耳にする代表的なものです。

  • SEO(検索エンジン最適化):検索で見つけられやすくするための施策
  • CRO(コンバージョン率最適化):成果につながる導線を設計するための改善
  • FEO(フロントエンド最適化):表示速度や操作性を向上させる技術的最適化
  • EFO(エントリーフォーム最適化):フォーム入力の離脱を減らすためのUI改善
  • LPO(ランディングページ最適化):広告流入を成果につなげるための構成最適化
  • UXO(ユーザー体験最適化):操作性・理解性・満足度など全体UXの向上施策

AIO(AI Optimization)とは、こうした従来の最適化とは異なり、生成AI(ChatGPTやGeminiなど)に拾われ、引用されるための構造や表現を意識した新しい最適化です。

「AIに選ばれる」ことが重要な理由

これまでのSEOでは、Google検索で1ページ目に表示されることが成果につながる最重要項目でした。
しかし現在では、ChatGPTやGeminiなどの生成AIによる「要約型の検索体験」が急速に広がっています。

 

項目 従来の検索 生成AIによる検索
表示形式 リンクの一覧 要約された1つの答え
クリック基準 タイトルや見出し 回答に引用されたソース
情報源の見え方 リンクを開いて確認 回答文中にソースが明示されることも

つまり、ユーザーがクリックする前に、AIが情報を要約・選別して提示してしまうため、そこに選ばれなければ「存在しない」も同然になってしまう可能性もあるのです。

 

実は今すぐできるAI対策

「AI対策」と聞くと専門的に感じるかもしれませんが、Webサイトの基本を見直すだけで、AIにとって「拾いやすい」構造にすることができます。以下に、AIの特性とそれに対応する対策を整理しました。

1. AIは「構造化された情報」を得意とする

対策例: HTML構造を整理し、見出し(H1〜H3)やパンくずリストを適切に設計する。

期待する効果・目的:LLM*の情報理解のしやすさ、引用候補化

 

2. AIは「明文化された意図や文脈」を重視する

対策例: ページ冒頭に「このページでは〇〇について説明します」といった宣言を入れ、専門用語には注釈や定義を添える。

期待する効果・目的:プロンプトとの一致による引用対象化

 

3. AIは「装飾的な表現」より「意味のあるテキスト」を評価する

対策例: 画像内の文字に頼りすぎず、キャッチコピーや重要メッセージはHTMLテキストとして明示。画像にはAlt属性で補足説明を入れる。

期待する効果・目的:LLM*のコンテキスト理解に影響

 

4. AIは「更新頻度や鮮度」も判断基準にする

対策例: コンテンツには最終更新日を明記し、古くなった情報は定期的に見直す運用体制を整える。

期待する効果・目的:情報の鮮度判断、信頼性評価

 

こうした基本を押さえるだけで、AIだけでなく人間ユーザーにも伝わるサイトづくりにつながります。

 

* LLM(大規模言語モデル)とは、大量のテキストデータを学習し、人間のように自然な文章を理解・生成できるAIの中核技術です。ChatGPTやGeminiもLLMを基に動いています。

過度なAI対策は「逆効果」

AI最適化を意識するあまり、ユーザー体験を損なうような対応になってしまうケースも少なくありません。

  • キーワードを過剰に詰め込んだFAQ
     → 回答が冗長になり、読みづらくなる
  • 機械的な文章や言い回し
     → ブランドトーンや人間らしい語り口が失われる
  • 不自然な見出し構成
     → 情報の価値が薄れ、逆にAIにも評価されにくくなる

AIO対策は、あくまで「人に伝わる設計」をベースに据えることが原則です。

AIOは「AIに届く設計」×「人に伝わる設計」に

AIO(AI最適化)は、「AIに読まれる」ための工夫でありながら、ユーザーにとっても見やすく、わかりやすい構造をつくることが基本です。
構造化、明快な文章設計、適切な更新といった日々の積み重ねが、AIにも人にも届くコンテンツの土台になります。

今後、生成AIによる検索体験がさらに浸透していく中で、「AIに引用されるかどうか」は、従来のSEO以上に企業の情報発信の価値を左右する要素となっていく可能性を秘めています。

「時代に合わせてWebサイトを改善したいが、何から始めればいいか分からない」
そんな時は、ぜひ弊社にお気軽にご相談ください。